先輩方の思い出

六郷登山協会 顧問 篠塚 信之助

 一口に50年と言っても、余りにも長い時であり、多くの会員の存在がある。

 そこで20周年記念誌「山頂に憩う」。30年周年記念誌「岳渓に遊ぶ」を振り返ってみると200名を超える会員が居り、それ以上の事業協賛者が居て、延べ会員がさらに増え続いている現在である。

 本会は、郷土歴史研究者の栗林新一郎先生が、かっての町民は町の水源である黒森山で「雨乞い」のお祈りをし、飢饉を乗り越えてきた。そのお堂がどこか捜がしましょうと呼びかけられた事に始まっております。

 山の専門家の宇佐美晃一先生を中心に、田口哲雄さん、細谷裕司さん、細井敏男さん、清水源次郎さん等が黒森山を熟知する田口惣太郎さんの道案内で山中の祠を捜し当てた。
黒森山を町のシンボルとして、石の祠を町の守り神として護持しようと登山同好会が発足したのです。

 発足に当り、熊谷義一宮司、岩屋朝明さん、梁田信一さん、小沢多十郎さん、北嶋貞夫さん等、数多くの町民、行政、各団体より支援があり、3年経過し名称を六郷町登山協会と変更し、六郷町体育協会へ加盟できた。

 この時、私が公民館勤務となり5周年の記念事業が進められた。まもなく若手で中央山岳経験者の畠山正現会長が入会し、私達の山行範囲が飛躍的に拡大して行った。

 海外の山へも挑戦し、各々の記念誌に思い出が発表されているので、省略したい。

 そこで、先輩達は登山ばかりではなく、山菜採りもベテランです。
 斎藤市兵衛さんは山菜の他に「長い物」の捕獲の名人です。斎藤さんをサポートして、橋本健治さんが同行しておりましたが、或日帰りの車の中で、腰に下げていた袋の口が緩み三千円(一匹)が逃げたと告げられた。
橋本さんは急いで車を止め下りた。斎藤さんは座席の下より無事再捕獲出来たと悦んでいました。

 この様な逸話が沢山あり、その話題を肴に一杯やるのも会員の楽しみでした。

 もう一人の橋本さんは、橋本巌さんです。彼は独学で日本画を学び、黒森神社の御神体が石であり、祭事に添えたいと、一年懸りで龍と観音様の条幅を画かれました。
今でも熊の宮内の里宮に祭られ、毎年黒森山頂祭事に掲げられております。

 この様に、山に行っても、里にあっても、ユニークな会員の面々に尽きぬ思いです。