北アルプス最奥の台地「雲ノ平」

小田嶋 尚人

折しも甲子園球場では吉田輝星選手率いる金農フィーバーが沸き起こっていた2018年8月15日(水)~8月19日(日)の日程で私達は黒部源流域を訪れました。

当時の記録を振り返ってみることにします。


2018年8月14日 六郷出発。

8月15日 折立登山口から太郎平を越えて薬師沢小屋泊(6時間55分:天気晴れ)

・ゆっくりと高度を上げワクワクしながら進む。往く手左側に図体の大きい薬師がその姿を現してくる。薬師岳に向かいたい気持ちを抑えながら太郎平を後に薬師沢へ下っていく。


8月16日 薬師沢小屋から雲ノ平山荘(2時間40分:天気雨)

・薬師沢の清流が徐々に濁流に変わっていくのを後にして一目散に皆何も言わずに唯々ひたすら雨の中を登っていく急登となった。雲ノ平に着き最奥の台地に佇む雲ノ平山荘に入ってあとは此処の空気を楽しむ一日。呑むも善し、読むも善し、寝るも善し、語るも善し。

雲ノ平山荘にて。天気予報の画面を見つめる一行
翌朝の雲ノ平山荘

8月17日 雲ノ平山荘から水晶岳・鷲羽岳経由で三俣山荘(9時間40分:天気晴れ)

・夜には雨も上がり満天の星空となった。そのお陰で朝は冷え込み雲ノ平の木道はスケートリンクのような危険な通り道となっている。水晶・鷲羽はやっぱり黒部源流だった。

凍りつく雲ノ平木道
水晶岳山頂
黒部五郎を背景に
三俣山荘にて

8月18日 三俣山荘から三俣蓮華岳・黒部五郎岳を越えて太郎平小屋(10時間30分:天気晴れ)

・この日は、雲ノ平を取り囲む長い稜線歩きとなった。その途中には黒部五郎岳が待っている。深田久弥が「三方を岩尾根に包まれて、青天井の大伽藍の中に入ったようである。」と記してある。独特な山容は忘れることができない。

黒部五郎小屋にて
青天井の大伽藍、黒部五郎岳

8月19日 太郎平小屋から折立登山口へ(3時間:天気晴れ)

・最終日も晴天で後ろ髪を引かれる思いで折立口へ下って行った。


黒部源流と雲ノ平の開拓史を見れば日本最後の秘境という場所であることが容易に想像できる。2度目の雲ノ平だが前回よりその思いは強くなっていた。黒部の奥深いところにある台地。その真ん中にぽつんと佇んでいる山荘。しかしその小屋の中ではゆっくりとしたそしておしゃれな時間が流れており(雨のお蔭で)私達もコーヒーを呑んだり山荘の雑誌「ななかまど」を読んだりしてゆっくり最奥の地での時間を楽しむ事が出来た。

そして今回のお山のハイライトは鷲羽リベンジと黒部五郎。彼らがどちらも快晴。北から白馬岳・立山・剱岳から槍穂、乗鞍・御嶽山までぐるっと、北アルプスを見渡せて十分に満喫できた。


同行してくださった方々:小川実さん、黒沢修司さん、小松勉さん、藤井樹生さん、樋場直人さん、梅川卓さん