じいーガンバロー・・・ぅん
篠塚 信之助
私は今年で七十七を数える。
思い起こすと「あの時、あそこで」と、反省の連続であった。
20年ほど前だった。新潟営業所にて土木の仕事の他に「秋田屋」という居酒屋も兼業していた或る日、24時を回ってスタッフに声を掛け店を出た。仕事なので酒は飲んでいなかったが、車で帰宅。
その時、大事な事を思い出した。
土木の応援に横手より来てた柏木君と登山の約束をしていた。
それは今日である。
行く先は守門岳(1537m)栃尾市。
長岡市の柏木君の宿舎四時、保久礼小屋の駐車場五時の予定であった。
山行準備ができていない。食料は24時間営業のコンビニが少なく、深夜なので品数も少なく朝食、昼食の2食分は大変であった。
3時ころやっと整ったので新潟をでる。とたんに眠気が襲う。黒崎サービスエリアで休む事にした。30分も寝てしまい約束の時間には間に合わない。急いで出発し三条付近で携帯電話で現状を報告し待ってもらう。
保久礼小屋の駐車場を出るときは、6時を過ぎていたが空元気で登山開始する。残雪の中キビタキ小屋を目指して進むが、途中の景色はほとんど記憶に無い。柏木君は私に合わせてくれ時間をかけて小屋にたどり着いたが、締まっていたし、キビタキ清水の表示が見つからず表示も無かった。
気を取り直し大岳(1432m)への急登に向かった。大岳山頂は大雪庇であり十数人が休んでいて、私も少し安全な処で腰を下ろしたとたん眠ってしまった。
星雲岳に尾根道を向かったが、途中体力に不安を感じ下山する。中腹の雪原で30分も休みながら、どうやら下山できた。
つき合ってくれた柏木君には本当に悪いことをした。
この大失敗の後は五頭山(913m)角田山(482m)は楽しい思い出である。
現在、秋田に帰ってきて四年となる。
一緒に生活をしている中学2年生の孫には、毎日の失敗に励まされ
「じいじ、もう少し頑張ろう」と。