お花の山 万寿山
佐々木 弘子
万寿山。それは初めて耳にした山。
知識のない自分を恥じるべきだが、何となくめでたい名前の山だと感じた。
2023年4月16日Sunday。前日からの雨は降り止まず、その日も朝から小雨状態。「え?登るの?」まずは集合場所へと向かった。するとバスに何人か乗車しており「登るんですか?」と聞いた私に「登るよ!」と元気良く笑顔で答えてくれたS子さん。ここで私の不安は一気に解消し、山友であるSさんも臨席へ、そしてバスは出発した。
民家の路地を通り入山すると、最初に迎えてくれた✿カタクリの群生。雪解けの林に咲く高貴な花。私の花言葉は『ひたむきな女性の恋の始まり』。
ほどなく登って行くと次に迎えてくれたのは✿ショウジョウバカマ。早春の林で見られ冬の間も枯れずに残っている花。私の花言葉は『飛び出た男の本音』。
次第に山登りが辛くなり「がんばれ自分!がんばれ自分!」と呪文のように心の中で唱え乍ら、堪えて堪えてきた私の足にやさしくひっそりと咲いていた✿ピンクのミスミソウ。別名雪割草。私はこの花が大好きだ。私の花言葉は『春に恋する控えめな妖精』。
10分ほど登るとそこには✿スミレサイシン。よく見るとハート型の葉を持ち淡紫色の花を咲かせている。私の花言葉は『ヴィーナスのキューピット会議』。
春の訪れを告げる✿イワウチワ。気付けばたくさん咲いていた。和名の由来は岩の上に咲き葉の形が団扇に似ていることからきているが、淡紅色の花を横向きにつける一輪も素敵だ。私の花言葉は『崖っぷちの乙女の淡い恋』。
標高410Mの山頂でひっそりと咲いていた✿シュンランを発見したのはR子さん。感激のあまり「あ~」と声を漏らし近づくとそこには開花前ではあったが奥ゆかしい美しさが。私の花言葉は『その佇まい私のあこがれ』。
時刻は10:25。ここから次の六郎山へ。少しお腹が空いてきた私。背後から「木々が短くなってくればもうすぐだ」とエールを送ってくれたKさん。しかしその道のりは厳しい。こんな時はいつも「今晩のお酒は何にしよう?」と脳裏をめぐらせ思考を変えてみる。
前後でキャッキャッと美声が鳴り響き登山はいつしか愉しい時間に。すると「あなた、なかなかいい会に入ったわよ」と表情を変えず声をかけてくれたKさん。ここは喜ぶべきか…どうか…少し戸惑いを感じつつさらに足を運んだ。
そして待ちに待った昼ご飯。気の合うSさんもゆで卵を持参。「どうぞ」と私の大好きなお菓子のあみじゃがを差し出してくれたUさん。幸せそうに食べているみんなの笑顔が忘れられない。昼食を終え下山の準備をしていると「靴ひもの結び方教えようか」とT会長さんがご指導ご鞭撻。いい気になって結んでもらった私はまるでシンデレラ?と錯覚をする事態に。
それから満たったお腹を抱え一路下山へ。そして台温泉へと向かった。体も心も癒された温泉だった。幸い、雨にあたることなく時折日差しもあり4月とは思えない天候に恵まれた万寿山登山。帰路のバスの中はかつての修学旅行さながらの賑わいでお疲れは何処へ?。私にとって六郷登山協会へ入会し記念すべき山行第1号。すばらしい想い出の1ページとなった。
追伸;私の花言葉は、その時の気分や酔い度で勝手に創った何の権威もないものですのでどうかご了承下さい。