四季折々の黒森山
宇佐美 進
旧六郷町から南東方向に聳え立つ黒森山。旧六郷町の山であり、私の登山人生の始まりでもある山であります。
私の登山人生で最初に黒森山に登った時期は定かでなく物心が付く前から登っていたと思います。幼少期から山を見ると心が落ち着きました。田んぼで遊んでいる時も、学校の帰り道、そして自宅の部屋からも見える黒森山はいつも私の心を和ませてくれました。高校時代に奮起して荒川から歩いたこともありました。
日本の山々は黒森山に限らず年中違う景色を見せてくれます。春は残雪に芽吹く山菜、夏は爽やかな緑、秋は燃えるような紅葉、冬には厳しくも凛とした雪景色。晴れの日も、雨の日も、強風の日も、雪の日も、朝昼夕夜、あげればキリのないくらい様々な景色を見せてくれます。登山というのは自然に寄り添うということのように思います。そして古から伝わる森を守るということは即ち自然に感謝をするということのように思います。人間は山から木を切りますが、ただ切るのではなく切らせて頂いているという心が古代の人にはあったのだと思います。それが現代人が山を見たり、登ったりすると心が落ち着くのではないかと思います。
さて、旧六郷町と黒森山は深い繋がりがあると思います。黒森神社に水神様が祀られています。旧六郷町は清水の町です。こんこんと湧き出る水を絶やさないために黒森山や七滝山などを手入れ、そして水神様をお祀りしたのではないかと思います。昔、黒森山に雨乞いに登ったと聞いたことがあります。それほど旧六郷町民は清水の水源を守るために黒森山に祈りを捧げたのだと思います。
六郷登山協会が50年守ってきた黒森山、この先の50年、100年、八千代まで守っていきたいものだと思いました。